岩本昌樹×小野大輔メモリアルマッチ スペシャル対談

岩本昌樹・小野大輔メモリアルマッチ スペシャル対談

岩本昌樹小野大輔スペシャル対談 Part-2

岩本昌樹小野大輔メモリアルマッチ」のために行われたスペシャル対談が実現!ライター河合 拓 氏が対談形式で取材。フットサルとの出会い、海外挑戦、代表、クラブ、Fリーグ、そしてファンへの思い。今語られる2人の熱き思い!

河合 拓
――Part1では、Fリーグができる前、みんなが「全国リーグをつくろう!」と一丸になっていた当時の話をしてもらいました。日本代表がW杯に出場した2004年以降、その流れが加速していきましたが、「全国リーグでプレーする!」っていう思いは、当然持っていましたよね?
小野大輔

俺はFリーグができるって信じてなかったんですよね。「どうせできないだろうな。でも、勝つには海外に行くしかないな」と思って海外に行ったら、Fリーグができたから、ズルいなぁと思いました(笑)。

岩本昌樹

関東リーグやスーパーリーグ(※00年から02年まで行われていた民間リーグ)に、人が集まっていたからね。

年々、盛り上がってきていたし、観客に見せるための仕掛けもやっていた。
河合 拓
徐々に見られる側になっているなっていう意識は出てきたんですか?
岩本昌樹
スーパーリーグが始まってから、その意識は強くなったかもね。そういう趣旨でやっていたから、「見に来るお客さんを楽しませる」とか、「その辺で着替えるな」とか、そういう話はしていたね。当時やっていた人は、プレーもそうだけど、立ち居振る舞いを、みんな意識していたと思う。見てもらえるように、面白いプレーをしようとか。それでスポンサーが付いたり、雑誌ができたりしていった。

「当時のお宝写真」提供:岩本 昌樹

小野大輔
いろんなブランドも立ち上がりましたね。
岩本昌樹

うん。当時の選手は、みんな見られることを意識してやっていたと思う。あの感じは、今ももう少しあっていいかもしれないね。

SNSとかがあって、そこで呼びかけるのもいいけれど、プレーで魅せる選手って少ない気がする。もちろん勝たなければいけないから、やりづらいっていうのもあるんだろうけどね。
河合 拓
世界的な流れですが、個性のある選手は絶対に昔の方が多かったですよね。
岩本昌樹

うん。でも、全体がそういう空気感でやっていたよね。スーパーリーグなんて、まさにそうだったから。

そういう空気感でやっていけば、自然とそうなると思うけどね。そうしたらお客さんも、「見に行きたい」と思うだろうし。実際に俺はファイルとか、カスカヴェウとかを見たいと思ったから会場に行っていたからね。

SNSで発信して、集客を呼びかけるのもすごく大事だけど、それ以上に中身が大事。

中身でそういうものを見せてくれれば、そこまで発信しなくても集まるかなって思うよね、俺は。あの人のプレーが見たいとか。応援しているチームじゃなくても、その選手を見たいとか、あるじゃん。
河合 拓
関東リーグが日本のトップリーグだった頃、小野さんが所属していたフトゥーロは、そういうチームでしたね。
岩本昌樹
そう、そう。当時の関東リーグって、今のFリーグのセントラル開催みたいに同一会場で全試合が行われていたから、うちらの試合が最初だったら、フトゥーロの試合を見てから帰るとか、そういう感じだった。
小野大輔

フトゥーロは、あんまり他がどうとか考えずに、「これでしょ」と思ったことを突き詰めていました。

残り時間が5分あれば、3点差でビハインドとかだったら、「まだ、どうにでもなるな」って思っていましたから。

でも、今のフットサルは、魅せるのが難しい時期にあるのかもしれません。
河合 拓

今の選手たちの難しさも、わかる気はします。始めた時から先輩の選手がいて、監督がいて、チームでやることが決まっている。

そのなかで個性を出すのは相当に難しい。しかも、この当時、監督はいたけど、実際に戦術を決めているのって、選手だったじゃないですか?
小野大輔

自分たちでなんとかしないと、どうにもなりませんでしたからね。

だから、フットサルがそういう時期、時代なんですよ。何をもって魅せるかっていうのも、微妙ですよね。名古屋みたいなチームも、もちろん必要。

面白いことをやっていれば、見に来る人が増えるかというと、それはわからないから。

でも、俺たちの時代が一回終わって、Fリーグがちゃんとできて、勝つためにどうするかという時代になりました。

いまフットサルを見ている人たちがどう思っているのかは分かりませんが、俺は正直、最近の試合を見ると「これだったら、誰がやっても変わらないんじゃないの?」って思っちゃいます。
河合 拓
個性の見えにくい時代ですね。
小野大輔

でも、その時代も必要だと思うんです。その次に「こいつ、すげーな」っていう選手が出てくるまでも歴史だと思うので。

昨年のサッカーのW杯で、日本とポーランドの最後に日本が時間稼ぎのボール回しをして論争が起きましたが、きっとブラジルやスペインも世界王者になる前に、ああいう試合を死ぬほどやってきていると思うんです。

それも歴史の一部だと思うし、いいんじゃないでしょうか。いま、こういうふうになっているけど、将来「当時は観客が少なかったよね」って言える時代がくれば。

そのために、どうしないといけないかは、岩本さんが毎日、頭を悩ませて考えている。
岩本昌樹
もう、そのことしか考えていないからね(笑)。
小野大輔
そのことしか考えてないませんよね。彼女もつくらないで、フットサルの未来のことしか考えていないから。
岩本昌樹
寝ずに考えているよ(笑)。
河合 拓
何か良い案は思い浮かびましたか?
岩本昌樹
全然(笑)。
河合 拓

Fリーグができてからは、名古屋オーシャンズという完全なプロチームができました。

そことどう競っていくかは、日本フットサル界としてのテーマに成りえるのでは、ないでしょうか。
小野大輔

でも、結果、見に来る人の数は増えていません。名古屋の試合だけ超満員っていうわけでもない。

あの選手たちのすごさがわかるのって、経験のある選手たちであって、一般のファンにはわかりづらいかもしれません。

俺は、フットサルは見るスポーツじゃなくて、やるスポーツだと思うから、会場のキャパシティも別に3,000人なくてもいいと思うんです。

1,500人のアリーナでいいから、もっとホームアリーナを持つクラブをつくろうとか、そういうことを考えた方がいいと思いますね。あとはJリーグを巻き込むことです。
岩本昌樹

サッカー場の隣にフットサルのアリーナが欲しいよね。

(バルセロナの本拠地の)カンプ・ノウとか、そうなんだよね。あれいいよね。
小野大輔

海外の小さい村でも、サッカーのグラウンドがあって、すぐ横に体育館があります。

外には汚いテニスコートがあって、そこに網のないフットサルゴールも置いてある。あれが大事なんです。

そういうところは、U-6の試合とかでも、すごくお客さんが来る。俺たちトップの試合が一番最後に20時からのキックオフだとすると、朝からU-6の試合、U-10の試合とか、ずーっとやっているんです。

それが隣町との試合だったりすると、すぐにケンカになるから、警官が立っていたりするんですよ。
岩本昌樹

この前、スペインに行ったとき、U-10のサッカーの大会だったけど、3,500人の観客が入ってた。

バルセロナの試合で、満員なんだよ。すごかった。みんなバルサの歌を歌っていた。あれは何なんだろうね。
小野大輔

スペインとかは「今年、隣町が2000発の花火をあげたらしいよ」ってなると、次の年は、こっちの町が2500発の花火をあげますからね。

ある意味、バカなんだけど、それくらいの方がいいのかなって思いますね。
河合 拓
日本人の気質が変わるまでは、時間もかかりそうですし、大変そうですけね。
小野大輔

そうですね。でも、だからあまり固い試合に抑えつけることはしなくていいのかなとも思います。

特に今のフットサルだったら、できるのではないでしょうか。でも、全チームが完全にプロになっていったら、絶対にできません。テクニックで、とか楽しいプレーをするというより、その選手の得意なところを出し切れるチームとか、組織の在り方があったほうがいいと思います。

……そう言っておきながら、自分がクラブに関わったら「おまえ、ドリブルすんじゃねーぞ」って言いそうですけど(笑)。
岩本昌樹
ガチガチのフットサルやって、「死ぬ気で走れ!」ってね(笑)。
小野大輔

スペインのタラベラっていうチームにいた時、ネネっていうドリブラーがいたんですよ。

彼はドリブルしかできないから、ドリブルしかしない。2部の相手だとスイスイ抜いていくけど、1部のインテルとかと試合をすると10回中7回くらい取られてしまうんです。それでも、抜いた3回は、すごいチャンスになって、その時は「マジ、俺やばいだろ」って言うし、逆に取られたときは「今日はツイてねー」って誤魔化すんですよね(笑)。

ドリブルのことしか考えていないから、シュートとか本当にヘナチョコなのですが、スペインって、そういう選手がいっぱいいるんです。ボレーシュートが得意なヤツとか、ドリブルが得意なヤツっていうふうに。
河合 拓
それぞれ得意なプレーがある選手ですね。
小野大輔

1部のチームを相手に10戦して3勝7敗だった選手が2部レベルだとすると、10戦で7勝3敗の選手は1部リーグにいます。

勝つ確率が高い選手ほど、どんどん上にいって代表とかになっているんです。

そう思うと、日本は勝てませんよね。町のスーパーボレーシューターが、一つ上がってセミプロになって、州の代表になって、2部のプロになって、1部のプロになって、っていうふうにどんどん洗練されて、集められているわけですから。

でも、日本は「そこでボレーシュートを打つなら、一回止めて、周りを見てみろ」っていう指導をしてしまう。そうしたら勝てるはずがありません。
河合 拓
長所を磨く機会をなくしているわけですからね。
小野大輔

そう思いましたね。でも、自分が子供たちに教える時は、「ちゃんと止めろ」って言ってしまうんですけどね、日本人だから(笑)。

「いま、ダイレクトよりも止めた方がいいんじゃないか? ま、いっか」って。指導は難しいけど、このままだと勝てるわけないなって思いますよね。
岩本昌樹

スペインだと9歳でサッカーをやっている子とか、めちゃめちゃうまい。大会の初戦でバルセロナの子供たちと試合をしたけど、0-8で負けたからね。

2戦目のビジャレアル戦は0-4で負けた。その大会は予選を勝ち上がったクラブが、本選に出てきていたんだけど、大会前に出場できなかった町クラブと練習試合をした時も0-3で負けた。

このレベルで本選に出られないんだって、驚きました。
小野大輔
超うまいなーと思って見ていたレアルの10番が……。
岩本昌樹

サッカーのブラジル代表DFマルセロの息子だった(笑)。

それで、めちゃくちゃ点を取られた黒人の子供が、元オランダ代表FWクライファートの息子だった(笑)。

クライファートも、見に来ていたからね。
Part-3 近日公開予定!
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